MAZIMANZI’s blog

剤の味は罪の味

†魔剤戦記† 第6話 寡占された暴力

「ああああ〜〜〜っ、緊張したら一気に渇いちまったぜ こう、うまい魔剤がのみてぇな!」

 


唐突にテレビ画面をジャックした緊急放送なるものが五月蝿い砂嵐と共に終わり、元に戻ったテレビ画面には、相変わらずあの下品な蛇口が生放送中のカメラに向かって迸る水流を吹き付けており、我慢がぼやけていた。

 


伏魔殿の一室は再びいつもの俺と神次だけという2人のろくでなしが醸し出す倦怠なムードが流れる淀んだ空間へと戻った。

 


「もう剤も切れちまったし、もう1本くらい飲みてぇんだけどなぁ」

 


どっと疲れが襲いかかってきたように、神次がベッドに倒れ込む。

 


見ると、ベッドの上には魔剤の缶が10本ほど転がっている。

 


人の家なのに空き缶を好き勝手に散らかして、やっぱり常識がないやつだ。

 


まぁ、今更そんなことを咎める気にもならない。

 


器にとって、剤をどれだけ飲んでいれば力を維持できるか否かは、本人の体質にかなりのところを依存する。

 


神次は割と燃費が悪い方だと思われる。

 


最も、俺は器ではないので実感としてはよくわからない。

 


よく、女のことはわからない、男の考えは理解できない などと互いに行ったりするが、通常の人間が器を理解することの方が遥かに難易度が高い。

 


そんなことを思っていると、非公認のルームメイトから思いもよらないことを言われた。

 


「なぁ... 買ってきてくんね?」

 


「はぁ?なんで俺が...」

 


唐突に振られる神次からの雑用の依頼に、嫌そうな雰囲気を隠す気もなく応える。

 


「いや〜 今俺が行くのはちょっと気がのらねぇというか...」

 


「なんだよ。飲みたいなら自分で行ってこいよ。それで買いに行ってオレがもし死んだりでもしたらどう責任とってくれるんだよ。」

 


すぐに神次のいうことをはいはいと聞くのも癪なので意地悪を言ってみることにした。

 


まぁどうせ、さっきテレビに出てきたコンラートを見て怯えているといったのがその実だろう。

 


最も、マシになってきたとはいえ、ここらで治安がトップクラスに悪い剤皇街のところまでは向こうも流石にわざわざ出てくることはないと思うのだが。

 


本人に伝えると否定するのは目に見えてるのでわざわざ言わないが。

 


しかし、俺だって行きたくない。神次が器としてコンラートを恐れるのならば、俺だって思わず器と邂逅してしまう事態が恐ろしい。

 


しばらく口論したのちに、俺が折れた。

 


「じゃあ2人で行こうぜ。」

 


オレの提案した妥協案に対し、神次は割と乗り気なようだった。

 


助け舟に乗せられて、目に見えて表情が明るくなった。わかりやすいやつだ。

 


神次がもしコンラートに出くわしたとしても、俺が弁解できるかも知れないし、俺が器に襲われたら神次がボディーガードになってくれるだろう。

 


アパート伏魔殿を降りて、徒歩で5分ほど歩いたところの自販機には魔剤が販売されていたはずだ。

 


俺も神次も大変に億劫なところは似ているらしい。

 


髪も服もボサボサのまま、そのまま何の支度もせずに玄関に向かい、履き潰された汚い靴だけを履くとそのまま2人そろって外に出る。

 


軋む扉を乱雑に開けた瞬間、耳を苛むような異音と共に、生暖かくて血生臭い外気が吹きつける。

肌にねっとりとまとわりつくような、不快な空気だ。

 


見上げた空は常にうっすらと赤黒い。この世界のあらゆる悪徳と、魔界におけるあらゆる功徳が一つのキャンバス上でかき混ぜられたような、悪意と混沌に満ちた色彩だ。

 


世界の大物たちが次々と逮捕され、悪魔の存在を秘匿することが不可能になってからというものずっとこれだ。

 


太陽 と言ったものは俺らにとってはもう歴史の教科書に乗るような、神のレガシーと化している。

 


その理由について、悪魔がより世界への干渉を強めた証とも、自分たちの存在を秘匿し通すことができなかった財界や政治界の大物たちへの懲罰、人類への示威行為、悪魔にとって過ごしやすい環境への改造 など様々な説があるが、どれも仮説の域を出ない。

 


「ああ、ひでぇ。」

 


ボロボロに赤茶色く錆びつき、吐き出したガムが手摺りにこびりついてる、伏魔殿の今にも倒壊しそうな階段を2人の男が降りていく。

 


なにせボロアパートだから、少しでも風が吹いたり、外で器同士の激しい決闘が行われたりするたびに衝撃でミシミシと不安を掻き立てる不快な音が鳴る。

 


最も、後者の理由で伏魔殿が異音を轟かせることはだいぶ減少した。

 


この世界には、憚るべきものなど何もない。傍若無人の権化と化した器たちは至る所で暴虐の限りを尽くし、そこらじゅうで器同士の決闘が行われていたのだが、コンラートが剤皇街の警察にやってきてからというもの、彼らが、抹消されたのか、自主的に大人しくしているだけなのかは明らかではないが、そのような騒ぎはあまり起こっていないのだ。

 


それでもたまに、外で随分とドンパチ決め込んでるバカなやつもいるみたいだが。

 


伏魔殿の1階にたどり着くと、狭苦しいエントランスを抜ける。

 


地面は一面得体の知れない液体でぬたりと湿っており、甘ったるいような、鉄臭いような臭気が辺り一面に充満しており、気分が悪くなりそうだ。

 


「相変わらずくっせぇな〜」

 


神次もそんなことを言っている。やはり体のごく一部は悪魔である存在の器であっても、決して快いものではないらしい。

 


もうすぐ日付が変わる刻ということもあり、外には人っこ1人見当たらない。

 


しばらく汚濁に塗れた悪徳が染み付いた街の路地を歩き、突き当たりの一角を曲がると駐車場がある。

 


そこに確か自販機があったはずだ。

 


「はぁ〜? マジでありえねぇ!」

 


突き当たりの一角が見えるとともに早足で駆け出したせっかちな神次の声が、俺が角を曲がる前から聞こえてくる。

 


「おい魔沙斗!全部売り切れだってよ!」

 


俺も数十秒遅れて神次の元に辿り着く。たしかに神次の言う通り、自販機のボタンから発せられる煌々とした真紅の露悪的なネオンが SOLD OUT という文字をビカビカと映し出している。

 


「しゃあねぇ。帰るか?流石にここから剤皇街のマーケット・デビルは遠いしな。」

 


「あぁ、今は剤皇街の中心部には近寄りたくねぇ... あの勃起野郎さえいなければいいんだけどな...」

 


あるはずだと完全に信じ切っていたお目当てのブツが売り切れというお預けを喰らった神次はすっかり落胆して、あいつらしくもないぼそぼそとした声で答えた。

 


あいつの言う勃起野郎とはコンラートのことだろう。

 


緊急放送での出来事のせいで不名誉な渾名をつけられている。

 


最も、俺からしてもあの男は胡散臭いことこの上ないので、同情などは微塵も感じない。

 


とはいえ、彼がいなければこうして器でもない俺がそこそこ安心して外に出られることもないので、複雑な感覚だ。

 


コンラートと名乗り、バチカンから来たと自称しているが、顔はどう見てもアジア系のそれだ。

 


それに、悪魔学のメッカとの悪名高いバチカンから、なぜ日本に、それに剤皇街になんてやってきたのだろうか。考えれば考えるほど謎づくめで、底冷えのする男だ。

 


「クソッタレが!」

 


コンラートに関して、想像と考察の世界にトリップしていた俺を、鈍い衝撃音が現実に連れ戻す。

 


神次が突然自販機を思いっきり蹴飛ばしたようだ。

 


「やめろ。そんなことしてもないものはないんだ。」

 


悪態をつき、踵を返して歩き去ろうとしたので咄嗟に嗜める。

 


「ひっ...!!」

 


俺たちが元来た道へと戻ろうと向きを変えたその時、目が隠れるほどまで髪を伸ばしている気弱そうな少年と目があった。少し猫背気味で小柄だ。最も年齢は初頭学校高学年くらいといったふうに見えるので、その世代の中では大柄なのかも知れないが、どちらでもいいことだ。

 


俺たちと目が合うなり怯えた声を出して縮こまる。

 


それを見て神次が少年をねめつけるようにじろりと睨む。

 


完全に萎縮してしまっている。

 


「お、ビビってる〜」

 


その恐怖が張り付いた怯えた面が愉快だったのか知らないが、突然神次が愉快そうに笑い出す。ビビらせて楽しんでいただけみたいだ。まったく。

 


無理もない。見るからにチャラそうな金髪の、腕にも足にも縦横無尽に魔物の爪痕のような刺青が走り抜けている、体格の良い男に睨めつけられたのだ。

 


「おいボウズ。こんな時間に1人で街を歩いていたら危ないぞ。こんなところに何しに来たんだい。」

 


「ボウズって!言い方ヤバっ!」

 


精一杯心配させないように聞いてみるが、ガキの相手は得意じゃない。努めて柔和に話しかけてみるものの、どうも恐ろしいムードを漂わせてしまう。神次にも揶揄われる

 


「え... えっと... 魔剤を買いに...」

 


逃げようとしていた少年も、声をかけられてしっかりと答えるために立ち止まる辺りなんとも律儀な人間だ。

 


もし俺たちが残忍な性格の器だったとしたらどうするのだろう。

 


たちまち肉塊と成り果てて、苦悩と後悔の中でその生涯に幕を下ろすことになる。

 


剤皇街にはいたいけな少年少女を嬲ることを至上の愉悦としているような最低な手合いも珍しくない。

 


随分と平和ボケしたような、浮世離れしているような少年だ。

 


未成年が夜1人で歩くことなど、よほどのことがない限りは避けるべきだ。

 


今回はたまたま俺たちと目があってしまっただけらしいが、逃げないのも随分と肝が据わっている。まぁ仮に俺たちが本当に殺意を宿していた場合、逃げたところでそれは徒労に終わるのだが。

 


臆病そうに見えて、なかなか芯があるじゃないか。

 


「残念だけど、剤は売り切れちまってるんだよな〜」

 


少年に向かってか1人ごとなのか、神次が残念そうに大袈裟にぼやく。

 


「そ、そうなんですか... やっぱりここもダメだった... では、ぼくはこれで...」

 


「ん?おい、待ってくれ!おい、待て!待ちやがれ!」

 


そそくさと退散しようとする少年に向かって途端に怒鳴りつける神次。かわいそうに。トラウマになるに違いない。

 


「お前いまなんて言った? ここも って言ったよな?」

 


またしても少年が振り返って、こちらを向く。

 


思わず笑い出しそうになってしまう。こいつは逃げたいのか、逃げたくないのか。待てと言われて待つバカがどこにいるというのか。

 


一種苛立ちすら覚える愉快さだ。よそものかも知れない。あまりにもここの街での法を知らなすぎだ。

 


「そう、今どこもないんです...」

 


おどおどとして発せられたその声は、しかし、それでいて鈍器のような衝撃を与えた。

 


「どこにもない!?ヤベェじゃねぇか!?この世の終わりだ!」

 


途端に神次が悲嘆に暮れた表情に変わり、悲痛な声を漏らす。

 


コロコロと表情が変わって忙しいやつだ。

 


「嘘だろ!?なんでないんだよ!?一大事だぞ!?暴動が起こるぞ!黙示録が始まるぞ!」

 


「そんなこと、こいつに聞いてもしょうがないだろ」

 


しかし、俺のツッコミとは裏腹に、少年は口を開き始めた。

 


「魔逢塾の生徒たちが、買い占めてるんです... 僕はノロマだからいつも取り分に溢れたり、せっかくゲットできても、塾のクラスの子に奪われちゃうんです...」

 


ははぁ、それでわざわざこんな時間に外に出てまで探しに来たわけだ。

 


「随分と必死だな。お昼にでもママンに買ってもらえや。」

 


率直な感想を口に出す。

 


「おかしいだろ!?これまでそんなことなかったぞ?なんで、その、魔逢塾とかいうとこのガキ共は魔剤を買い占めてるんだよ?」

 


神次が喰ってかかる。

 


俺は別に剤を飲まなくとも渇くことがない体質なのでわからないが、どうやら異常事態らしい。

 


「もうすぐクラス分けのテストがあって... みんなそのテストでいい点を取るために、魔剤を飲んで徹夜で勉強してるんです... デビル・マーケットにも1つもなくて...」

 


神次に凄まれてペラペラと喋りだす少年。

 


この性格に加え、色々と聞かれたらすぐにペラペラと喋るその軽薄な口といい、本当に犠牲の羊としての生き様が相応しい少年だ。

 


哀れみすら覚える。

 


「今がテスト期間なのか!?」

 


「ほ、本当にぼくはこれで...」

 


俺たちを振り切って、今度こそそそくさと走り出した少年が、瞬く間に姿を闇の中に消していった。

 


へぇ。羊でもその気になれば走れるんだな。

 


少し意地悪して呼び止めて見たくもなったが、流石に可哀想なので躊躇われた。俺にも情がある。器でないなら尚更だ。

 


「おいおいおいおいおいおい!聞いたか魔沙斗!聞いたよな!?今の!?デビル・マーケットすら全滅らしいぞ!どうすんだよこれ!」

 


伏魔殿への帰り道、神次はずっとテンションが低く、トボトボと歩いていた。大柄な体躯の神次が珍しくも項垂れているもので、小柄で弱々しく見える。

 


やがてアパートに戻って、自分の部屋を平然と無視して、なぜか俺の部屋にそのままついてきた神次はしばらくブツブツと言っていたが、やがて立ち上がると、凄まじい大声を出して衝撃的な発言をぶちかました。

 


「決めたぞ!オレ、魔逢塾にカチ込むことにする!」

†魔剤戦記† 第5話 勃起してやがる!

いくら器とは2人きりになるな、とはいえ、神次はだらしがないとはいえ俺を襲うようなことはしないだろう。

 

 

そういうところはしっかりしていると信じている。

 

 

 

「ジョバジョバジャーーーーーーーーンwwwwwwwwww」

 


「あ、お前!放送器具を壊しやがったな!水濡れ厳禁なんだぞ!fuc..ジョバーーーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 


「あははっ!見ろよ魔沙斗!NGワードを水音でかき消したぞ!」

 


愉快そうに神次が笑っている。

 

 

 

はぁ、相変わらずお気楽なやつだ。

 


ジーーーーーーーーーーーー

 


「ありゃ、故障か?せっかく面白いところだったのに!」

 


テレビの画面が唐突にして乱れ始めて、神次が恨めしげにテレビを叩く。

 


人の家のテレビだぞ。叩くな。

 


「........ ええ〜 番組をお楽しみの皆さん、申し訳ありません。緊急放送でございます。繰り返します、緊急放送でございます。」

 


砂嵐が吹き荒れていたテレビ画面が急に戻ったと思うと、そこに移っていたのは先程までの愉しげな雰囲気のスタジオとは一変して、教会のような厳かな内装の空間だった。

 


「緊急放送をご覧の皆様。ご機嫌よう。剤皇警察のコンラートでございます。本日はみなさんに、素晴らしいお知らせがございます。」

 


「うげ!」

 


神次がテレビ画面に一面に映った、コンラートと名乗る紫色のローブを纏った、神父のような格好をした警察官を男を目に入れた途端、不快そうな声をあげて目を細める。

 


「本日、我々は剤皇街にして、器2機を根絶いたしました。繰り返します。我々は...」

 


みるみるうちに神次の顔が青ざめていく。

 


「剤皇街は今、ゆっくりとだが確実にその平和を取り戻しております。混沌を極め、修復不可能と言われていた治安も、やがては回復に向かうでしょう。皆さんの生活と生涯に、祝福がありますように!」

 


神次にとっては恐ろしいことこの上ないだろう。コンラートと名乗る男は、器の根絶を目標として掲げているのだ。

 


そもそも、器の大量発生により全国各地で治安が急激に悪化した。魔界の理で行動する暴虐の器たちの前で、人であることの枷から外れられない警察組織は無力に等しく、治安の悪化は瞬く間に回復不可能なまでに進行した。最も、最近では器を警察側も戦力とするために、器の若手を採用したがっているらしいが、いかんせん反発が強いのかよくニュースの議題などに上がっている。

 


特に、俺たちが住んでいるアパート、伏魔殿がある場所から徒歩で1時間ほどで到着する剤皇街という場所の治安は最悪レベルだ。

 


そんな中、半年前にいきなり、有名無実化していた剤皇街の警察署にコンラートと名乗る、神父のような格好をした男がやってきた。

 


それからと言うもの、治安は凄まじいスピードで回復していき、器でないものが1人で外を出歩いていても安全なレベルにまでに回復した。

 


それだけ聞けばいいことづくめなのだが、どうやらコンラートは一切の区別なく、器を手当たり次第に全て根絶しているらしい。

 


どうやって?俺にも全くわからない。

 


あの人理を超えた力を持つ器たちをいかにして、”根絶”しているのか。

 


確実なのは、神次のような、特に人を襲ったりしないような器であっても、コンラートは一切容赦ということをしないであろう ということだ。

 


「それでは皆さん、再び皆さんが笑顔で過ごせる時を願って... 器の根絶に引き続き尽力して参ります...」

 


放送が終わると、コンラートが席を経ち、何やら不自然な前屈みで画面からフェードアウトしてい...

 


俺は見逃さなかった。コンラートの股間が、ローブ越しでもわかるほど、尋常ではなく隆起している。

 


その瞬間、性格が真逆だと思っていたオレと神次は、出会って初めて、同時に同じことを口にした。

 


「「あの野郎、勃起してやがった!!!」」

†魔剤戦記† 4話 魔が統べる世界

「さてさて、本日のお笑いライブもいよいよ大詰めです!」

 


今現在大ブレイク中のディアー山本さん!お願いします!

 


突如として舞台がスポットライトに照らし出され、幼児用の白いレオタードを身につけた小汚い中年男が現れる。

 


全身ぴちぴちであり、明らかに大きさがあっていない。

 


すね毛がボウボウに生えているその男は、内股でプルプルと震えながら、足を生まれたての子鹿のように戦慄かせて、官能的なポーズを取る。

 


乳首が透けており、股間も少ない布面積でかろうじて隠されているその男が、サディスティックな欲求を喚起させるかのような、露骨にエロティックなポーズを見せつけるように披露して、すね毛だらけの細い足をソワソワと震わせると、神妙な面持ちでこちらに目線を向けて唐突につぶやいた。

 


「扇情的なバンビ、淫靡」

 


ブハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!

 


会場一面が愉快そうな笑い声に包まれて湧き上がる。

 


 


「あははははははっ!おもしれ〜っ!」

 


俺の隣で、ところどころ黒に戻りかかっている、金髪のいかにも軽薄そうな男が、人のベッドで寝そべり魔剤を飲みながらテレビ画面を見つめて大笑いしている。

 


俺は魔沙斗。剤皇街という、この日本じゃ知らない奴はいないくらいヤバい街の近くのボロアパート、伏魔殿に住んでる三流大学に通う大学生だ。

 


「これ、どこがそんなに面白いんだ?」

 


俺にはとても理解できない。

世間では今これが大ブームになっているというが、いったいこんなののどこが面白いんだろうか。ただただ下品なだけではないか。

あの白いレオタード姿の、乳首が透けて股間が隆起したムダ毛だらけの男を見るだけで、気が滅入る。

 


最近ではなんでも大人気芸人だかなんだかで、テレビをつけているとこの男を目にしない時がない。まぁ、芸があれしかないし、一発屋の部類だろう。どうせしばらくすればみんなも注目しなくなり、忘れていく。

 


不快なら見なければいい そう思うだろう。

しかし、この男が毎日のようにオレの家に上がり込んでくるのでそうはいかない。

 


この男は神次。シンジっていう。

 


シンジ、自体はありふれた名前だが、そこに神次なんて漢字を当てはめるのはまずもって普通ではない。

 


どうやら、両親はこの下品な男に、神を次ぐ存在になるという確証をこめてこんな名前をつけたらしい。

この男は相当なバカだが、その両親も筋金入りのバカなのだろう。 まぁ、変なキラキラネームをつけられなかっただけでもこいつは感謝するべきなのかも知れない。

 


「なぁ、なんで毎回俺の家でテレビ見てるんだよ。自分の部屋にはないのか?」

 


「オレの部屋汚すぎてさ〜 テレビ見れないんだよね。臭くてたまんねーのよ 後こないだついに電気止められちまったしな。」

 


わかってはいたが、呆れる。

 


オレの住んでいるボロい安アパート、伏魔殿 の隣の部屋に先月引っ越してきたこの男は、だらしなさにかけては世界チャンピョンかとすら思える。

 


引っ越してきて1週間もたたないうちにオレの部屋に転がり込んできたと思ったら、テレビを見せてくれ とか、飯を分けてくれ とか言ってくる始末だ。

 


こんな馴れ馴れしい男はオレの人生の中でもこれまでに見たこともない人種だった。ただ、困ったことにこいつはあまりにも無礼で世間知らずな男だったが、性格は決して悪くなかった。

 


もしこいつの性格が根本まで腐りきっていたなら、間違いなく叩き出していたであろうに。

 


ただ、この男は幸か不幸かオレと同じ大学に通っている同い年の人間だった。

 


なんだかんだもそこまで神次のことを嫌いになれなかったオレは、こうして毎日のようにやつが家にやってきてはテレビを見るのを許容していたのだった。

 


ピッ

 


「お笑いコンテスト生放送もいよいよ大詰めです!決勝に進出した、ジョバラーズさん、芸をお願いします!」

 


「あっ、おいバカ!何チャンネル変えてんだよ!」

 


シンジが怒ってリモコンを奪い返そうとしてくる。

 


「ジョバラーズのお二人は、この時代だからこそできる斬新な芸で大ブレイク中ですね!」

 


「そうですね〜 せっかく魔素の力が溢れるようになったこの世の中、面白いことがたくさんできちゃいますからね〜 僕のパートナーは元々魔剤工場の備品だったんだすよ。きっと魔剤を流しすぎて魔素が染み付いて、魂が宿ったんだと思います。」

 


「ジョバーーーーーーーーーwwwwww」

 


テレビでは、赤い帽子を被ったコミカルな外見の男と、蛇口が並んで出演している。

 


「どうも、ジョバラーズで〜〜〜す!」

 


「ウィウィウォッシュwwwwwww」

 


「今日はいきなりね、攻めちゃいますよ?あのバンビにも負けてないぜってことでね?」

 


そういうと、男はおもむろにズボンを下ろす。

 


そして... 彼は下着を履いていなかった。

 


「ジョバーーーーーーwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 


すかさず蛇口がカメラに向かって大量に放水し、視界がぼやけることで際どいところでかろうじて放送できるレベルになっている。

 


どいつもこいつもレベルの低い芸だ。

 


神次は楽しそうに笑い転げているが、つくづくあの笑いのセンスが羨ましい。

 


笑いは健康にいいとも言うし、あいつは長生きするだろう。

 


元々図太いやつだ。あいつが死んでるところなんて想像できない。

 


「いや〜 こんなふうに面白い使い方をする奴もいるんだな!」

 


神次が感心している。

 


たしかに、それもそうか。彼も器であるものとして、このような生き方に感銘を受けるのも頷ける。

 


この世界で、悪魔の存在が公に暴露されてから数年が経つ。

 


始まりは突然だった。

 


世界の中でも、一部の人々が突然にして超常の力を手に入れ、人智を超えた体力や知力など、さまざまな力を持つものが現れた。

 


世界中は大混乱に陥り、その様子は連日ニュースとなった。

 


それから程なくして、さらに世界を震撼させる出来事が発生した。

 


悪魔の存在を秘匿していたとして、大国の大統領や首相、大富豪たちが次々と逮捕されたのだ。どうやら、この世界に発生していた歪みから、悪魔がこちらの世界にやってきて様々な干渉を行っていたと言うが、俺たち庶民が知っているのはそれくらいだ。

 


そしてオレが知っている中でも何よりも衝撃的なのが、世界でも莫大なシェアを誇っていた巨大エナジードリンクメーカーのトップを務めていた人物が、悪魔と密約を交わしており、悪魔の血液を混入させて販売していたということだ。

 


この企業には世界中から大富豪や貴族たちが、悪魔の存在を知っているにも関わらず、その恩恵にあやかろうと、出資していたと言うのだから呆れることこの上ない。

 


これにより、幼少期からエナジードリンクを大量に飲んでいた人間には、悪魔の成分、マスコミでは通称魔素と呼ばれている。が体内に色濃く残り、多種多様な能力を発現するようになった。

そのため、器となった人間はほとんどが若い人間であった。

 


これ以来、エナジードリンクは世界中で魔剤と呼ばれ販売停止になったが、現在は器であると届け出をしたものに限り国家が一元管理して提供している。

 


神次みたいな、魔素の力を発現したもの、器 などと呼ばれている は定期的に魔剤を飲まないと体内の魔素が暴走して死に至ってしまうので、魔剤の供給は死活問題なのだ。

 


もしどうしても手に入らない場合は器でない人間を殺してその血を飲むしかない。

 


この事実が発覚した当初、器と化した人間は皆殺しにしてしまえ と言う世論が席巻したが、それは実現には至らなかった。

 


それは決して人権などが鑑みられたためでは無く、器となったものたち強大な力でその運動が力ずくで頓挫させられたからだ。

 


おそらくあの下品な蛇口も、相方が言うことが本当なら工場で魔素を流し続けさせられた結果として、悪魔の魂が宿ったのだろう。

 


そう、悪魔の魂 とでもいうように、魔素も元は悪魔の血液である以上、器の人格に多少なりとも影響を与える。

 


器となった人間は、そうではない人間よりも欲求に忠実になり、残忍になる傾向がある。特に、魔剤の切れた人間は顕著だ。そのまま供給が途絶えると、そのうち人間を襲撃しだす。

 


これを抑えられるか否かは当人に大きく依存している。 

 


オレも幼少期からスパルタ家庭で育てられ、ひたすらに受験競争を強いられた。その影響で幼い頃からオレの体は魔素漬けであったはずなのだが、何故だかオレに魔素の力は発現しなかった。

 


そう言うわけで、オレはある意味体内に悪魔を宿した男と同じ部屋にいるのだ。

 


どうやら昔は大学ではよく、女1人で男の家に行くのは気をつけなければいけない などと言われていたらしいが、今では専らそんなフレーズは死後になっている。

 


今は、器と2人きりになるな というフレーズの方が主流だ。

†魔剤戦記† 第3話 ソロモン・リング

空気がまるで琴の弦のように張り詰め、2人にとって1分に感じられるほどの時間が流れた。

 


その間、僅か2秒。

 


刹那、弦のように張った空気が鳴った。けたたましい音が鳴り響く。

 


「警察だ!ここらで魔素が爆発したとの報告があった!大人しくしろ、バケモノ!」

 


乱入する第三者の声。

 


2人がいる場所が、まるで決闘のスポットライトが当てられたかのように照らし出され、警官の群れが路地裏に突入する。

 


「殺します?この仔牛たち。」

 


「ああ。権力の羊たちのブルゴーニュ風ラム肉ディナータイムと行こうか。」

 


「羊を殺したって、たいして盛り上がらないですけどね!」

 


先ほどまではあそこまで殺意を容赦なく剥き出しにしていた2人が、興を削がれた不快さでもって団結し、僅か一言二言の会話で行動をともにする。

 


矮小なる人の理で以って、魔界より賜りし神秘を制御し、枠に抑え込もうとする警察は、2人にとって唾棄すべきものに違いなかった。

 


無言の停戦協定が結ばれ、より憎き敵に向かって殺意が弾丸となって飛び出した。

 


真紅と翡翠の閃光が縦横無尽に、それでいて決して交わることなく豪速の軌道を残したかと思うと、残像が消える間も無く警官たちの首が落ちる。次いで、鮮血のスプリンクラー...

 


20年、30年、40年、50年、それぞれの時を生きてきたものたちの命の灯火が、人理で観察可能な猶予すら残さずに等しく消されてゆく。

彼らの残した悲鳴すらまた、人理で捉えることのできる範囲の音すら残すことを許されず、閃光に焼かれて灰となりて汚濁の地べたへと墜つる。

 


紅き閃光が一撃で20の、翡翠の閃光が瞬間にして5の生命の灯火を、まるでバースデーケーキの蝋燭を吹き消すように造作もなくかき消した。

 


あたりに漂うは煙ではなく、代わりに蒙昧なる人汁...

 


血生臭い...

 


「愚鈍ですねやっぱり。重量級の戦い方ですか?」

 


「チマチマしてるテメェはやっぱり気にくわねぇ。決闘に水を刺されちまったもので、やりすぎちまっただけだ。次はテメェだ。」

 


憎まれ口を叩く2人の器。

 


あたりには一面の血液の芳香、芳しきその獣臭を発する、さっきまで紛れもなく生き物であった生首たちが、祭壇のような情景を演出している。

 


「随分と派手にやってくれましたね。」

 


30秒ほど後、路地裏に向かって、コツ... コツ... と軽快な音が響く。

 


惨劇の会場へと近づいているという事実など、まるで問題になどならぬかのように乱れぬ足音のテンポ。こぎみよく路地裏に響き渡るそのリズムが2人に近づくと、やがて鎚のように重き靴音が響く。

 


「やはり、器でしたか。」

 


突然として佇まいが転調する。

 


荘厳なる声が響き渡り、まるであたりが神殿か教会かなにかの聖域であるかのように静まり返る。

 


路地裏へと続く道を曲がり、姿を表した声の主は、果たして警察官であった。

 


しかし、それは先ほど羽虫の如く薙ぎ払われて、強制的にその生涯に幕を閉じさせられたものたちとは何もかもが違っていた。

 


警察であることを示す帽子こそ被ってはいるものの、西洋の神父か何かと思しき紫のローブを見に纏い、見るからに格式高そうな靴を身につけている。

 


ただ、彼には神父にはあってはならないものが付いていた。

 


まるで魔石細工のように、ローブにこれでもかと装着している光輝く勲章。

 


戦果を誇り、時に羨望の眼差しを向けられるトークンである勲章の数々。敬虔であるべきが職務である神父が身につけるものとして、あまりにも異質な物体。

 


柔らかい表情を浮かべ、穏やかな佇まいでやってきたこの男には、何人にも畏敬の念を抱かせるような、天使の如き神聖さと、尽きることなどない底無しの功名心や猜疑心、欲望の数々を、隠すこともなく見せびらかす悪魔のような趣味の悪さが同居していた。

 


「やっぱりこうなるとは思ってたよ。まぁ、

おかげで、私1人の功績になることが決定した。」

 


無残な肉塊と成り果てた、かつて部下たちであったであろうモノを一瞥してそういうと、彼らに僅かほどの関心すら寄せない様子でそのまま2人の器を見つめる。

 


アンビバレントが具現化したかのようなその男は、2人の器の姿を認めると、右手を腹に添え、腰を折って深々とお辞儀をした。

 


「はじめまして。私は剤皇街警察署のコンラートと申します。以後、お見知り置きを...」

 


「はぁ?あんた誰なんです?」

 


「テメェ... なんのようだ?」

 


幾度となく鮮血に濡れ、記憶できぬほどの骸をこれまでの生涯で拵えてきた2人の器すら、この神父のような佇まいの警察官が醸し出す根源的な恐怖に打ち震える。

 


これほどの惨状を目にして、何故平気でいられる?

 


「みなさんのお名前を、ぜひ教えてください。」

 


丁寧な物腰で、しかし、反論など決して許されぬような圧を発する、コンラートと名乗る謎めいた男。

 


「はぁ?教えるわけないでしょうが。」

 


「路地裏のシミにしてやるよ...」

 


いくら恐ろしい相手とはいえ、その恐怖の原因のほとんどはその得体の知れなさから発生していた。

この異常事態に全く驚嘆する素振りすら見せない胆力、人間離れした2人の存在を認めても落ち着きはらっているどころか、お辞儀までして挨拶をしてきた存在への底知れぬ不気味さ...

 


とはいえ、あの男が特に魔素を纏っているようにも思えない。いかなる力を隠し持っているかは知らないが、2人してかかれば多少苦戦するにしても息の根を止めることが可能だろう。

 


そう踏んだザイゴンと牛山は、赤と緑の閃光となり、互いが互いを加速させるリニアモーターカーのように全力で男に飛びかかる。

 


しかし、結末は2人が期待していたようにはならなかった。

 


動きが... 止まる。

 


弾丸のように、明確な殺意の塊となりコンラートを唯一かつ共通の弾的として、火打ち石の如く弾け飛び出した2人は、彼の1mほど出前の位置まで到達したところで、器をもってしてもなお理解の及ばぬ力に阻まれて、完全に身動きを取ることが不可能となっていた。

 


「? ?」

 


「おい、どうなってやがる!」

 


まるで全身から魔素が抜けきってしまったかのように、身体中に力が入らなくなり、魔素の力を発現させることができなくなる。

 


コンラートの前で、動きを完全に止められ、完全に彼の掌の上に載せられてしまった2人が、マリオネットのように力無く、意思なく、操られるが如く移動させられ、狛犬のように隣に座して並べられる。

 


2人の間に、神官のように立ちふさがるコンラート。

 


「ははぁ。エナジードリンク、お好きですか?」

 


穏やかな微笑みを浮かべながらコンラートが問う。

 


「好きですよね? こういうの?」

 


コンラートの、見るからに高級そうな底の高い靴が、穢れた地面に打ち捨てられていた魔剤の缶を踏み潰す。

 


ダメだ。 この男は...  知っている...!!

 


敵に回してはいけない存在だった...!!!

 


2人の背筋を、恐怖が一瞬で駆け巡る。

 


器となって以来、長らく感じたとこもなく忘れかけていた心からの恐怖という感情。

 


「「「ソロモン・リング」」」

 


コンラートが肘を曲げたまま、腕をぐっと垂直にに上げ、掌を顔の前の位置に持ってくると、金糸の刺繍であしらわれた、腕まで覆い隠していたぶかぶかの紫のローブがはだけおち、腕に嵌めた無機質な金属の腕輪があらわになる。

リングの中心部に嵌め込まれた、人間の眼球を模した機構。

そのあまりにグロテスクで露悪的な意匠が凝らされた機構が、一度輝き、二度瞬く。

あたりを紫色の霞が包み込み、音階が不自然にずれた、歪な讃美歌が奏でられる。

 


その瞬間を最後に、2人の器たる者の意識は薄れていった...

†魔剤戦記† 第2話 器の決闘、劣等の血統

「お前はボクの... いや、オレの琴線に触れた」

 


目の前に立ち塞がり、肉食獣のような視線で一点とザイゴンを見つめる、違和感を具現化したような存在。

 


おかしい。魔素の力を帯びた一撃を喰らってなお、なぜこの男は生きている...?

 


「おい。」

 


およそあの牛山から発せられたとは思えない、静かながらも迫力に満ちた声。

 


「”カバン”を、見たでしょう?...」

 


そのまま、蛍光色のオーラを纏ってじりじりとこちらに詰め寄るように歩んでくる牛山。

 


おかしい。こんなやつ相手になぜ恐怖を感じている?

 


自分よりも2回りほどの小さな体躯の牛山など、その気になれば簡単に振り払えるだろう。いや、あの一撃を喰らっても絶命しなかったあのバケモノを...?

 


「お、お前...!?何者なんだ...!?」

 


上擦った声で情けないことを言ってしまう。

 


「”魔素の器”、あなたと同じですよ。ただし...」

 


「お前より遥かに格上のね。」

 


「そういうことかよ。お前、学校ではあんな大人しそうな面しといてよ... なぜ器でありながらああもオドオドしてんだよ。なおも気に喰わねぇな。」

 


先ほどまでの混乱が嘘かのように、落ち着きを取り戻す。

 


からくりがわかってしまえば、恐るるに足りるものでもない。彼もまた、器であるというだけだ。

 


そして、このような本性を隠した弱々しき器に負ける展望など、あらゆる世界線の可能性を収束させたところで見えてこない。

 


ザイゴンもまた、器であるというだけある。

 


「力を持ちながら、なぜ堂々と振る舞わない?」

 


不機嫌そうに詰る。

 


「はぁ... お前などの劣等種に答える義務もないが... いいでしょう。

ボクはね、自分を下に見てくる奴らを殺すときの、あの何が起こったのか訳わかってなさそうな顔が大好きなんですよ!劣等種のお前にわかります?あの、生まれ持った常識の全てがひっくり返って唖然としてる奴らを殺す楽しみが!だから、ああして嗜虐欲をそそるようにしてるんですよ...!!」

 


「供物である牛に殺される悪魔、シュールすぎるでしょう!お笑いで天下取れますよ!

そして牛を供物として捧げようとする人間を、代わりに供物にしてやるのが何より面白い!」

 


恍惚とした表情を浮かべ早口になった牛山がカバンを蹴飛ばすと、そこからゴロンと人の首が転がり出てきた。

 


途端にあたりに血生臭くなる。

 


「こいつらはみんな供物になったんです。どれも、いい顔をしていましたよ!」

 


牛山が生首を蹴っ飛ばすと、勢いよく跳ね飛ばされたそれがザイゴンの足元に落ちた。

 


「同類だなぁ、オイ。」

 


「どこがです?劣等種。」

 


見下したような視線を向ける牛山と、落ち着きを完全に取り戻し不適に笑うザイゴン。

 


「テメェも結局それか。オレと同じだ。必要以上の供物を、楽しみで殺してる。」

 


「悪いですか?」

 


「いや、悪いとは全く思わねぇ。いいじゃねぇか。せっかく魔素の器となったんだ。暴虐の限りを尽くさずして何をする?俺も楽しくてたまらねぇな。お前みたいな、見てるとイラついてくるような雑魚を嬲るのが。まぁ、本当のお前は違ったみたいだけどな?一本やられた気分だ。」

 


「お前に言われても全く嬉しくないね。それに、お前みたいなダラシないやつは嫌いだ。お前毎日何本魔剤を飲んでんだよ。よほど魔素の燃費が悪いみたいだな。飲んだらそのまま垂れ流しじゃないか。強欲なる、罪深き牛だ。」

 


鈍い音が響いたかと思うと、ザイゴンの腹から深紅の噴水が迸った。 

 


「愚鈍なる血だ、燃費が悪すぎますね?矮小なる箱庭でイキがる雑魚の血統特有の味ですよ、それぇ?」

 


それをいつの間に指につけていた牛山がペロッと舐めて、罵倒する。

 


「おい、それはテメェの血液だよ。」

 


そう言われて、自分の指を見た牛山は絶句する。

 


確実にザイゴンの腹を切り裂いたはずの自らの指の第一関節より上が、あるはずのその姿を消し、代わりにどくどくと噴き出す血液の噴水となっていたことに。

 


「テメェ、オレが魔素デブりだといったな?そんな指先だけに纏ったヒョロイ魔素じゃあ、俺の力場に轢き潰されるだけだ。」

 


「ちぃっ...」

 


どうやら、彼の血液から湧き出す力場に指が弾かれたようだ。

 


伊達に毎日30本以上剤を取り込んでいるとのことはある。並ではない魔力だ。

 


居合の達人が向き合うように、魔を宿した者たちがわずか2mほどの間隔を取り向かい合う。

 


空気が極限まで張り詰めて、純粋なる殺意と殺意が対峙する。

 


「決闘、します?牛に喰われる魔の貌が楽しみですよ?」

 


「牛が魔に喰われるのは変わらねぇ摂理だ。いくらお前が器だったとしても、やってることはやっぱりちいせぇな。さっきの不意打ち、イラついてきやがった。」

 


挑発...  すなわちそれは、不可逆的なトリガーたり得た。

 


「テメェを殺したら、今日はよく眠れる気がするぜ。知ってるか?ソロモン王は一回の食事に牛30頭を費やしたそうだ。

俺には、それ以上の供物がふさわしい。

 


「へぇ。バカのくせによく知ってるんですね。結局結末は神に見限られるところまで、そっくりになりたいですか?」

 


一触即発の間合い。その煽り合いが、いつ鮮血の飛ばし合いへと発展するかは、常に間合いと殺意の弛みが生まれる瞬間を、瞬きもせずに全身で観察しあうお互いにもわからなかった。

 


何故なら、達人同士の勝負においては、常に先手ではなく、その先手の行動に対応した受け手が、一瞬にしてその趨勢を決めるものであり、互いが互いの先の行動無くして行動することを望まなかったからである。

 


空気がまるで琴の弦のように張り詰め、2人にとって1分に感じられるほどの時間が流れた。

 


その間、僅か2秒。

 

いままさに、人理を超えたものたちの、雌雄が決されようとしていた。

†魔剤戦記† 第1話 人理を超えしものたち

「おい、金持ってんだろ?早くだせよ...」

 


閑静な路地裏、人目のとどかない平穏な... とは決して言い難い街の一角にあるそこに響く、ドスの効いた不穏な低い声。

 


あたりには大量の魔剤の缶が捨てられており、カラカラという音を立てながら転がっている。

 


その空き缶が転がる床には一面の吐き捨てられたガムや汚物に濡れ、所々得体の知れない液体が漂っていた。

 


いくら治安が低俗と言っても、媚びた声で、獣性を秘めた下郎どもを巧みに誘惑する、堕落を体現したかのような娼婦や、射幸心を煽ることだけがそのレゾン・デートルであるかのように瞬く目障りなネオンライトもそこにはない。

 


しかしそこでは、そのようなものなど肩を並べることすら敵わない出来事が行われようとしていた。

 


「ザイゴンさん、牛山のヤツぜってえウソついてますよ!」

 


「オレちゃんと聞きましたよ!こいつが学校で、新作の魔剤戦記666を買うのが楽しみだって言ってるところ!」

 


学生服を纏った熊のように大柄な男が、同じく学生服を纏った小柄な少年を恫喝している。

 


どうやら、取り巻きたちがザイゴンと呼ばれた大男を囲うように立っているのを見ると、カツアゲのようだ。

 


「剤吾さん!ほ、ほんとに持っていませんって!ぼくもうこれから家に帰るところで...」

 


牛山と呼ばれた気弱そうな少年が、路地裏の汚濁した壁に小さな背を寄せて縮こまる。

 


「なぁ、痛い目見たくないんだったら、あんまり生意気なこと言わねェ方がいいぞ?あん?」

 


「そうだ!その価値のない命が惜しいなら、今すぐ地面に頭つけて泣け!」

 


ザイゴンと呼ばれた大柄な学生服の男が、大蛇の如き太い腕を不意に華奢な少年の胸ぐらに伸ばすと、掴み上げた。

 


「ほ、本当は持ってます... だから...」

 


「お、お願いです... これしかありません... どうか見逃してください...」

 


牛山が声を震わせながら、弁解がましくポケットから1000円札を取り出し、両手でぷるぷるとなりながら差し出している。

 


「お、こいつ金持ってるみたいですよ!」

 


「ちっ、たったの1000円かよ!」

 


「まぁ、これであと5本は魔剤飲めるじゃないですか!」

 


取り巻きたちが次々と喚き立てる。

 


「おい、お前財布はどうしたよ。まさかこれで全額ってことはねぇだろ。カバンにも入ってんだろうが...」

 


1000円札をひったくるように取り上げると、ザイゴンはなおも少年に詰め寄る。

 


その途端、おどおどと鞄を自分の後ろに隠そうとした牛山を見て、ザイゴンの苛立ちが増幅する。

 


「嘘つきに続いて、女々しいことしやがってよ!」

 


直後、牛山が頭を押し付けられている、路地裏の壁にぽっかりと大きな孔が開き、鮮やかに焼けついた紅から、ちりちりと不快なノイズと煙を発していた。

 


「あんまりオレをイラつかせると、骨が数本逝くことになるが、いいんだろうなぁ、あん?」

 


ザイゴンが牛山の肋骨のあたりに拳を突き立て、グリグリと押し付ける。

 


ザイゴンの右腕と拳が俄に緋色のオーラを纏い出したかと思うと、冷え切った路地裏の空間の中、そこだけを異様な熱気が包み、ザイゴンの拳と牛山の学生服の胸元のあたりに蜃気楼が揺らめいている。

 


空気が震える。

 


「わかってるよな? オレが、”魔素”の器だってことくらいなぁ?」

 


「や、やめてくださいっ...!」

 


「こいつ、必死になって命乞いしてますよ!」

 


「最初から素直に金でも出せば、こうはならなかったのに、残念でちゅね〜」

 


取り巻きのガラの悪い男たちが、必死になって震えながら謝罪をする牛山に、笑いながら次々に罵倒の言葉を牛山に浴びせかける。

 


「お前が死んだところで、学校の誰も悲しまねぇんだよ!」

 


「おう、その牛みてーなアホ面を今日から見なくていい思うとせいせいするぜ!」

 


「ザイゴンさんの糧になっちまえよ!」

 


得意げに囃し立てる取り巻きたちの輪の中には、体格が2まわりほども違う男が2人。

 


190cmの、”殺意”が鈍器のように襲いかかり、華奢な牛山の肋を、これから殺す獲物で戯れる残酷な獣のようにグリグリと抉るように押し付けている。

 


「気に入らねぇな... あ?」

 


「なんで、”そんなん”で済んでんだよ...」

 


突如ザイゴンが怪訝そうに眉を顰めて問う。

 


その言葉を受け、取り巻きたちも異変に勘づいたのか、咄嗟にその表情が不安げなものへと変化する。

 


「おかしいだろうが。オレがいつもこうして、”魔素”を纏わせた拳を押し付けたヤツらは、痛みで真っ先に悲鳴をあげて泣き喚いてたじゃねぇか。」

 


不機嫌さがより一段と激しくなっているのは、ザイゴンの腕を見れば容易にみて取れた。

 


元より大木のような太さの腕に、鎖状の赤い血管が浮き出し、薄暗い露地裏にあって煌々と輝き、取り巻きたちにとっても、まだ一度もみたことがないほどに脈撃っている。

 


「お、おい!どうして他の奴らみたいになかねぇんだよ!おい!」

 


「どうなってんだよ!キモいやつだな!学校でもお前ウジウジしててきめーんだよ!牛だけによ!ほら、いつもみたいにモーモー泣けよ!」

 


先ほどの愉悦に満ちた、嗜虐の嗤い声とは打って変わって、畏怖の表情が手下たちに一様に貼り付いている。

 


罵声を浴びせ続けるものの、その声からは余裕が失せている。

 


「やっぱりテメェは顔すら見たくねぇな!

その牛みてーな面見てるとイライラすんだよ!牛は黙って悪魔に捧げられとけや!」

 


突如、激昂したザイゴンが鞄をひったくると、右手を振り上げる。

 


「おい!やべぇぞ!ザイゴンさん、やる気だぞ!」

 


「逃げろ!」

 


取り巻きたちが、一目散に路地裏の狭い出口に駆け出して殺到する。

 


刹那、その剛腕を縦横無尽にめぐる鎖状の血管が、何か歪な音を立てて弾けた。真紅の閃光が、硬く閉じられた拳より漏れい出て四散し、路地裏の備え付けの悪いガラクタたちが震えるほどの振動が巻き起こり、エネルギーが拳から放たれた。

 


凄まじい轟音が轟く。

 


先ほどまで、彼の血管と拳より発せられていた閃光により眩いほどの明るさに満ちていた路地裏が、やがて再び静寂に包まれる。

 


拳からはぷすぷすと煙が燻っており、そこから蒸気のようなものが発せられる。

 


「はぁ... 殺しちまったかもな。またやっちまった。」

 


まぁいい、牛山が素直に金を出さないのが全ての元凶だ。

 


牛は供物であり、悪魔はそれを喰らうもの。

 


その運命は、聖書の時代から変わっていない...

 


そしてそれは、永遠に変わることもない...

 


ザイゴンは、きっと今頃は焼け焦げてミディアムステーキのようになっているであろう彼の遺体を蹴飛ばすと、カバンに手を伸ばす。

 


財布が入っているであろうカバンまでは殺っちまってないはずだ。

 


...?

 


突如として感じる違和感。 

 


なぜ、骸を蹴り飛ばしても動かない?

 


確かな感触を持って、振動が、もはやモノと化したであろう”ソレ”を蹴った己の足に跳ね返る。

 


どういうことだ...?

 


常軌を逸した出来事に頭の整理が追いつく間もなく、凄まじい悪寒が背筋を駆け巡る。

 


感じる視線。何か、こう、捕食者が向けるような...

 


目を向けた先には、牛山の骸...

 


いや、無傷の牛山が、蛍光色に光る翡翠のオーラを纏いながら、こちらを睨みつけていた。

 


「お前はボクの... いや、オレの琴線に触れた」

マウラとゴッド・オブ・カース

 

※この記事は、アニシャドオタクの気持ち悪い妄想全開の記事です。あと、ネタバレがあります。気をつけてください。

 

 

 

 

 

 

皆さん、新環境楽しんでますか❓

 

世間はといえば、テレビをつけても新聞を開いても、電車の中でのJKたちの会話も、9/27日にリリースされた本格スマホeスポーツの新パック、Dawn of Calamity 〜災禍を超えし者〜の話題で持ちきりですね。

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そんなシャドバの世界に、今老若男女が熱中するのには訳があります‼️😫

 

なんと今回のパックはあの国民的アニメ、シャドウバースとのコラボパックな訳です‼️

 

そう‼️アニメとのコラボパックといえば、当然あのアニメで大活躍してお茶の間を沸かせたイグニスドラゴンやダークエンペラーがスマホ版でも使えるということなのです‼️

 

毎週火曜日にはテレビにかじりついてリアタイして、オレを熱くさせてくれたあのアニメです‼️

 

でも、第三シーズンから夜の1時までのバイトと重なってしまい、リアタイできなくなってしまいましたが、しっかり録画しておいて、生活習慣を投げ打ってでも、帰ったら優雅にお酒でも飲みながら、アニメシャドウバースの鑑賞と洒落込んでいたわけです。

 

そして、後日解禁されるニコニコでの再放送ももちろん視聴

 

自称筋金入りのアニシャドオタクです🧐🤓

 

そんなアニメとのコラボです、興奮しないはずがない‼️‼️‼️

 

ちなみに、

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↑激アツな物語を彩るサントラ。

ぜひ マウラのテーマ か まやかしの奇術 でもバックグラウンドに流しながら読んであげてください。

多分サブスクに普通にあります。

 

 

そしてそこにはもちろん、オレのアニシャドの推しキャラ、マウラくんのバディカード、ゴッド・オブ・カースも現代版の能力をひっさげて実装されているというわけで‼️

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オレはビショップのスキンはずっとマウラにしてます、未来永劫変わらないでしょう。

いい笑顔😃😃❣️

 

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敗北時リザルトでは、なんと開眼します‼️

糸目キャラが本気出した時の開眼っていいですよね。

なんも関係ないけど、ヒプマイのglory or dustのMVで簓が開眼した時めちゃくちゃ興奮しました😤

 

でも、マウラは結構頻繁に開眼してくれます。

 

バトルがある回は毎回してるんじゃないでしょうか。

マウラ

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彼は原作のアニシャドの中では、前半の2シーズンではヒイロたちの謎めいた敵として、後半は禍いの樹の危機に立ち向かうため、仲間として登場する、要するに、途中で仲間になる謎めいたライバル枠 といったキャラです

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ちなみに、あのスカルフェインを切り札として使用する神回もあります。必見‼️

 

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第3シーズンでは虚の影に取り憑かれてしまい、遊戯王ばりの顔芸を見せてくれます。

 

そんな彼ですが、バトルスタイルはとても陰湿で、普段はニコニコしてるんですけどバトルになるとその本性を表します。

 

とにかく相手をジワジワと嬲るように追い詰める戦法を好んでいて、彼の切り札、ゴッド・オブ・カースも、それを体現したかのような性能になっています。

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ゴッド・オブ・カース(長いので今後ゴカスと書きます)

速攻でオーブ3つぶち込んでプレミアムにしました‼️

 

このフォロワーは、一度破壊されると、次のターンの初めに復活して、進化して攻撃力が0になる代わりに潜伏(攻撃や選択の対象にとることができない)を持ちます。

 

そして、自分のターン終了時に、相手の体力の最大値を−4(原作では5だった)します。

 

ホビアニの場合、キャラクターのバディカードや切り札はそのキャラの性格を反映していることがよくあるんですが、このゴカスはそもそも体力の最大値を減らしてしまうので、一度この効果を喰らってしまうと、もう回復も無駄で、2度と体力は元に戻りません。

 

こうして毎ターンジワジワと相手を嬲っていく...

 というのが彼の基本戦略です。

 

アニメ版では、マウラがこのカードを出した後に破壊され、次のターンを

 

\\\\\\再誕せよ‼️ ゴッド・オブ・カース‼️//////

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というクソかっこいい口上と共に始めると、本性を全開にし、ひたすら陰湿で煽りまくりの闇のバトルが幕を開けます。

 

しかし、彼は結構な強キャラポジとして描かれているのにもかかわらず、メインキャラ7人の中だとおそらく1番勝利描写が少ないです😢

 

それに、戦う回や登場回も、後半シーズンではそこそこあるとはいえ、前半シーズンではほとんどなく、その対戦も両方ともに主人公のヒイロと戦い、ギリギリのところで主人公補正によって逆転され負けるというパターンです。

 

本当は1期の大会シーンで、メインキャラの1人であるカイくんを破っているのですが、おそらくゴカスの能力とマウラの初見の印象を強くするために何故かバトルシーンが全てカットされています。(前回の話の最後が、カイくんがマウラとのトーナメント表を見てメガネクイクイして、超天才のバトル、見せてあげますよ... とドヤっていただけに、次回予告でいきなりヒイロvsマウラ!とやられた時はめちゃくちゃビビりました。噛ませにされるんだろうなぁとは思っていたけど、まさかのバトルシーン前カット。)

 

オレの中ではあの有名な 城之内死す よりもショックでがっかりな次回予告でした。

 

そんなこんなであんまり目立っていなかったマウラですが、敗北した時に、行方不明であるはずの主人公ヒイロの父親の存在をほのめかすなど、ストーリーの謎担当としてはしっかり活躍していました。

 

今回は、オレが独自にマウラと彼の切り札、ごかすの魅力を解説していきます。

みんなもマウラスキン買って、ゴカスをランクマッチで使ってください‼️

 

 

 

魅力1  カッコ良すぎる登場演出

 

アニメだと、マウラがゴカスを召喚すると、雷のような眩しいエフェクトが画面いっぱいに現れて、ゴカスが回転しながら登場します。

 

それと、ゴカスが破壊された後にゴカスが復活するターン、スタジアムにいきなり暗雲が立ち込めたかと思うと、突如雷が一閃‼️進化してより禍々しい姿となったゴカスが耳障りな音と共に、なんか毒っぽい煙とともに現れる‼️

 

これがめちゃくちゃカッコいい‼️

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そして、極め付けはターン終了時に相手の体力を減らす効果が発動した時です。

 

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これもホビアニあるあるなんですけど、デュエマでシールドがブレイクされた時に本当にガラスが目の前で炸裂しているかのように腕で顔をかばったり、ベイブレード同士が激闘すると突風が吹き荒れるように、この効果が発動した時、相手プレイヤーが黒くて不気味なオーラに包まれたかと思うと、マジで拷問されてるみたいな叫び声をあげて苦しみます。

 

このホビアニ特有の過剰演出は、ちょっと笑ってはしまうものの、ゴカスの強さや性質を十全に示しています。

ぜひアニメで見てみてください。

ゲーム版だと黒い雲も、オーラもなくなり、かなりシンプルな演出になってしまってるのが残念。

 

魅力2 イラストがめちゃくちゃカッコいい‼️✨

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みてくださいこれ。

 

神々しい というよりも、かなりの禍々しさを感じませんか❓よくみてみると、手足に謎の鎖がかけられて、動きを拘束されているように見えます。

 

なんか、ミュウツーハンターハンターのメルエムみたいな雰囲気もちょっと感じます。

 

そして、異様な風貌、妙に細い手足、手に持っている紅い光を放つ、邪教の神官のような人が持っていそうな杖。

 

なんか、人身御供の風習とかがいまだに残るアフリカの秘境とかで崇められてそうなイラストで、めちゃくちゃいいと思いませんか⁉️

 

マウラの悲惨かつ不明なところが多い生い立ちと相まって、最高にやばい雰囲気が出てると思います。

 

実際ゴカスはビショップにたまに出てくる、スカルフェインとか狂信の偶像に代表されるような、いわゆる邪教系カードです。

 

これらのカードは基本的にとても不気味なものが多いのですが、それと比べても全く劣らない雰囲気です。だけど邪教系カードにしては珍しく人の言葉を喋りません。

 

そして、ゴカスの能力の真髄が発揮されるのが進化後。

 

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それがこのイラスト。

進化前を遥かに超える禍々しさです。

 

進化前、手足についていた鎖のようなものからは完全に解き放たれて、呪いも全開といった感じでしょうか。

 

何やら呪文が描かれた円環のようなものも見えます。

きっと恐ろしい呪いでしょう‼️

 

後ろに付いているたくさんの黒い触手のようなのも、貞子みたいな女性の髪の毛チックでとてもいいですよね‼️

 

オレは初めてこのイラストを見た時に、1番好きな18禁ゲームである、『euphoria』に登場する、教祖として崇められている女性のミイラを想像しました。

 

きっとそっちの方は思いっきり不気味なイメージを持ってもらうために描いたのでしょうが、それと同じような気持ち悪さです。

 

そして進化後は頭に、青い球体が2つできており、黒いお札のような触手でグルグル巻にされています。

 

きっと恐ろしい呪いが詰まっているのでしょう😱。

 

このドクドクと脈打つこの青い2つの球を見ていると、小学生の時ふざけてダンゴムシとわらじ虫を一緒に容器に入れてぐちゃぐちゃにすり潰した時に大量に吹き出てきた臭くて禍々しい紫色の汁を想起させてきます。

 

その汁は洗濯しても洗剤で洗ってもこびりついて取れずに、当時はめちゃくちゃ怖かった記憶があります。

 

ゴカスの頭についてるこの2つの球は、その時の気持ち悪さと生理的嫌悪感を生々しく思い出させてくれて、不気味さという点において素晴らしいとしか言いようがありません。

 

なんかこう、割れてしまうともう取り返しがつかないことになるってオーラがビンビンに漂ってきやがります。

 

一部ではキンタマと呼ばれているらしいのが残念です。言い得て妙なのでちょっと笑っちゃいますけど。

 

そんなゴカスの進化後の動くスリーブが、課金パック購入特典として実装されたじゃありませんか‼️

 

公式からのその通知のリプ欄は、いらない、需要考えろ などの心ないリプで埋まっていて悲しくなりましたが、オレはもちろん買いました。

 

 

こういう、オムニスとかイグニスドラゴンの喋らないスキンみたいに、批判されても一部の趣向の人間のための特典をたまには実装してくれるの、本当にサイゲのいいとこだと思う‼️

 

魅力3 マウラとゴカスの関係

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このフレーバーテキストからもわかるように、マウラは相手を苦しめる戦法が大好きです。

 

何も知らない楽しそうなあなたたちを、苦しめたくなる。

 

でも、これは彼の生い立ちに影響しています。

 

彼は捨て子で身寄りがなく、誰も助けの手を差し伸べてくれない極貧路上生活で生き倒れているところを、アニメの世界でシャドバを作った会社、ジェネシスカンパニーの社長、レオンに拾われるという生い立ちを持っています。

 

そこでレオンにシャドバを教わり、大切に育ててもらえるのですが、マウラは実は本当に大切にされてるわけではなく、生贄として保護されているだけに過ぎません。

 

世界を滅ぼす元凶、禍いの樹。それが近い将来世界にやってくることをレオンは知っていました。

 

そして、それを止めるためのプロセスの一環として、生贄が必要である。

 

このような事情のもと、孤児❓のマウラは引き取られたのです。

 

そして彼はそれをレオンから聞かされて育っていてもなお、それを、自分を助けてくれたレオンへの恩返しであり、自分の使命だと思っていました。

しかしやっぱり本当は死にたくなんてない。

 

3期目に入り、いよいよ禍いの樹が現れるとその葛藤は本格化し、精神を苛まれていきます。

 

特に、伝説のカード、インペリアルセイントの初お披露目回であるルシアとマウラのバトルは必見です。この時期になると、マウラは精神がおかしくなってしまっています。

 

そして、彼が伝説のカードに認められるきっかけとなったのは、使命とか恩義を抜きにした、純粋に

生きたい という強い気持ちでした。

 

このような葛藤を常に抱えているわけです。

 

ここがとてもいいポイントで、彼はゴカスを使って相手の体力の最大値ごと削るという、言ってしまえば陰キャ戦法をメイン戦略としており、これで相手を嬲ることを楽しんでいます。

 

しかし、寿命の最大値を削られているのはマウラも同じです。

来たるべきが来たら、生贄にならなければいけない。

彼が相手を嬲っているように、彼自身も運命に嬲られているわけです。

 

相手の寿命のカウントダウンを減らしている中、自分の寿命のカウントダウンも刻一刻と迫っている。

 

そしてそういう運命に苛まれているマウラは、相手をいたぶる戦法に愉悦を見出しているわけです。

 

めちゃくちゃ切ない展開だし、レオンは罪なやつだと思いませんか⁉️

 

そして、このカードを含め、シャドバ自体を彼に渡したのは他でもないレオン社長です。

 

ゴッド・オブ・カースは直訳すると、呪いの神。

 

一体社長は、どういう気持ちでこのカードをマウラに渡したんでしょうかね...

 

マウラは、レオン社長から渡されたカードに特別な思い入れを示すシーンがあります。

 

となると、ゴッドオブカースはやはり、彼に自分の宿命を忘れさせないための役割があるのでしょうか。

 

相手を嬲るカードに見えて、実はゴカスというカードそのものにマウラは嬲られているのではないか。

 

という妄想をすると少し悲しいですね。

 

実際、マウラのデッキは基本正統派ビショップらしい神々しいカードが多い中、混じっている禍々しいゴカスにはなかなかの場違い感があります。

 

これこそが、バトル中で急に本性が現れる というキャラをうまく引き立てていると思ってます。

 

ネタバレになりますが、実際レオン社長はいわゆる黒幕で、マウラを利用していただけでした。

 

本編にはなかったのですが、真実を知ったマウラがレオンに反旗を翻して戦いを挑み、切り札であるゴカスを召喚するも、レオン社長に

 

君になんでそのカードを渡したと思う❓

君自身の運命を忘れさせないためだ。

 

などと言われて、あっさりと倒されてしまう

 

そこに駆けつけるヒイロたち 

 

みたいな展開があったらめちゃくちゃアツかったと思います。

 

あと、マウラの試合前のドローバンクがめちゃくちゃエロいです。

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通称だいこんおろし装着のバンク。

キャラごとに個性が際立っているのだが、マウラのは優雅でお洒落な雰囲気であるにも関わらず、時々暗く澱んだオーラが出たりと、魅力が詰まっています❗️

 

魅力4 ランクマッチで強い‼️

 

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ゴカスはゲーム版にくるにつれて、結晶能力を新たに貰ったので、セリーナとめちゃくちゃ相性が良く、上振れればこんな風に相手を圧殺することができ、今流行りの狂乱ヴァンプすら有無を言わさず轢き殺せます。

 

あくまで上振れであり、上振れないとキツいですが、マウラくんになりきって、

再誕せよ‼️ゴッドオブカース‼️とか、

さあ、悲鳴の時間です‼️ みたいなエモートを送りながらランクマッチで使ってみてください。

ちなみに、晒されても責任は取りません。

 

 

他にも、マウラは、あの有名なカード、スカルフェインを切り札として使用したり、メイン7人の中で1人だけレオン側に通じたキャラなので、暗黒の帳 という謎に満ちた不可思議なカードを使用してみたり、アニメ終了後のカード紹介コーナーで、

僕の力は、まだまだこんなものではありませんよ...

と意味深なことを言って今後の展開を楽しみにさせるなど、魅力はまだまだ語り尽くせません。(当時はこのアニメが1年続くと思っていなかったので、まだこれからもバトルする機会があるのか‼️と嬉しくなりました)

 

放送前のアニシャド紹介pvでは、ここで負けたらあなたは失格、舞台から降りていただきます...

 

というセリフを笑顔で言っていますが、お前もう船降りろという某キャラの名言❓を想像させてしまうのでちょっと笑ってしまいます。

 

以上‼️

 

追記〜⭐️

 

大都会池袋から徒歩1分... 

 

都心の地下には、夢とロマンの酒場が...‼️

 

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飛空挺酒場ことバッカニアではなんと、キャラクターの名前や作品名、アルコールの度数の強さ、モチーフとなるカラーをシートに記入して店員に渡すとそれを元にオリジナルカクテルを提供してもらえるオタク垂涎のサービスが‼️

 

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↑こんな感じの、めちゃくちゃ雰囲気のある冒険者、決闘者垂涎のバー

 

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↑オリジナルカクテルオーダー用紙はこんな感じ。これはベルフォメット🤖

 

 

そこでのオリジナルドリンクのひとつとして、マウラをモチーフに作ってもらいました‼️👩‍🦯

 

キャラはなんでもいいとのことで、店員さんはみんなグラブルは知ってるらしいけど、流石にシャドバのキャラは大丈夫なのか...🧐❓

 

と思って恐る恐るシートを渡して...😫😫😫

 

了解しました‼️と店員さんの返事😲😲

 

大丈夫だった❗️😶

 

この瞬間テンションブチ上がったのはいうまでもないけど、期待とうますぎる飯で胸と腹を満たすこと10分ほど...

 

出てきたのはこちらのドリンク‼️

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そして店員さんがいうには、このマドラーと入れて上から覗いてみてください‼️

 

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マウラの衣装の胸元を意識してみました❗️

 

オレはオーダー用紙のカラー指定で、マウラは白❓黄色❓と迷った末に、白と書いて提出したにもかかわらず、出てきたドリンクはまさかのマウラカラーの黄色❗️

 

そして店員さんから言われた通りに上から覗き込むと...⁉️

 

マウラがいる🤩🤩‼️‼️‼️

 

そしてこのマドラー‼️ 

 

マウラが首元につけているネックレスの赤色だし、ゴッドオブカースの杖の色でもある鮮やかな赤色のスフィアが‼️

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↑災禍を越えし者のpvで出てくるゴカス。

杖が赤く光ってる🟥🚨

 

あまりのクオリティの高さと解像度の高さに平伏しながら、ゴッドオブカースやマウラのような、その優しい口当たりでいながら、裏ではじわじわと度数の高めなアルコールが染み渡ります‼️😁😆

 

マジで脱帽🎩からの感謝感激極まりました‼️

 

過去によみうりランド📰がシャドバコラボをしていた時があり、その時もコラボカフェでマウラドリンクを頼んだのですが、味・見た目・小道具全てにおいて、それすら遥かに超える世界で1番解像度の高い最高のマウラドリンクを味わえました😭🙏

 

バッカニアさん、ありがとうございました🙏🙏🙏

 

ちなみにオリジナルカクテルはノンアルでも作って貰えるので、アルコールが飲めない人や未成年も是非行ってみよう‼️‼️💥📣📣